太宰治に萌えてみた

鉄平は今年で19歳。
大学には受かったものの、大学で友達ができずにいてサボりがちな家にいることの多い生活を送っていた。

「……ヘヘ……ヘヘヘ…やっぱり太宰先生の作品は最高だなぁ……」

そして鉄平は今日も太宰治作品を読んでハイになっている。

別に昔から読書が好きだったわけではないが、ただただ毎日暇だった大学生活に嫌気がさし

大学内での暇つぶしにと立ち寄った図書館で、手に取ったとある本ですべてが変わったのだ。

そう、出会ってしまったのだ太宰治作品に…・・

鉄平は後ろから鉄パイプにでも殴られたかのような強い衝撃を受けた

人は嘘をつく時には、必ず、まじめな顔をしているものである。(斜陽より)

鉄平は太宰治の書く文章に鉄平は一目ぼれをした。

そうそれはまるで恋のように、文字を読めば読むほど太宰の世界観に溺れていくのだ。

まさに欲望という名の戦車、とどまることの知らない鉄平の欲求は、大学にも行かず、ただただ気が狂ったかのように太宰作品を読み荒らしたのだ。

そして小説を読み始めてからちょうど3日目の深夜事件が起こった。

無音の部屋で食事すら、水分補給すら忘れる程に、ただただ太宰作品を読み漁っている最中のことである。

突如、部屋全体に響き渡るメロディーが流れたのだ。

「なんだ!?」

突然の響き渡るメロディーに驚く鉄平

せっかくの太宰作品とのふれあいに水を差された気持ちになり、苛立ちを隠せないでいた。

しかし、この響き渡る原因が鉄平には理解ができなかった。

何故いきなりメロディーが流れたのか、今までにこんなポルターガイスト的な現象は起きていない。

苛立ちと、原因不明のメロディーに一抹の不安を抱いていた鉄平は、この今の状況を分析してみることにした。

今までなかったのに急にメロディーが流れたということは、今までにないことを最近何かしたのか?

今までにしてなくて、最近したことといえば・・・・・・

「そうか!分かったぞ!」

鉄平は遂に、太宰治の文章を読む事でメロディーを聞き取る事に成功した。

そう、確信したのだ。

「き……綺麗だ…」

それは30秒程度ではあったが、あまりにも繊細で可憐なメロディーに涙し、鉄平の心に深く刻み込まれた。

なんということだろう……

目で読む喜びを感じ、耳で聞く喜びを知ってしまった鉄平

もう戻れない、いや戻りたくないと、この気持ちを忘れずに再び太宰作品を手に取ったのだ。

しかしその数分後に、鉄平は倒れた。

意識は突如としてドロップアウトをしたのだ。

幸い処置が早く、次の日病院で一面を取り留めたのだった。

意識を取り戻した鉄平は、担当医が話しかけている事すらも耳に入れることなく、手元に太宰作品がないということだけを認識すると、おもむろに自分のパンツに手を突っ込み、緊急用太宰作品を取り出し読み始めたのだ。

※緊急用太宰作品とは、いついかなる場合にも太宰治作品と触れ合えるように肌に離さず常備している太宰作品である。

しかし、その時鉄平は違和感に気づいてしまったのだ。

そう、鉄平の聴覚はなくなっていた。

まったく、音が聞こえないのだ。

「先生!僕の耳が……耳が聞こえません!」

すぐさま目の前にいた医者に訴えかけた。

「落ち着きなさい。君はただ睡眠不足で倒れただけだよ明日には退院できるから」

鬼のような形相に驚きを隠せない担当医であったが、すぐさま冷静に答えた。

「耳が聞こえないんです!どうするんですか……これじゃあ…太宰先生と触れ合えません!」

小説を握り締めながら必死に訴えた。

余程悔しいのか、口をかみ締め、少し涙を浮かべるほどである。

「太宰治ですか……」

そんな必死の訴えの中、担当医は大事そうに握り締めている小説に手を伸ばした

「触らないで!」

鉄平は拒絶した。

「しかも呼び捨てにしないでください!太宰先生です!」

この言葉に、医者は唖然としていた。

「君……私の声が聞こえているじゃないか……」

そう、聴覚がなくなったとパニックになっている目の前の患者と、普通に会話をしているからだ。

まったくもって意味がわからない。

「あなたの声じゃなくて太宰先生の音が聞こえないんです!」

「………」

当たり前に語る少年に絶句した。

これはきっと、パニック状態に陥って、何がなんだか分からなくなっているだけなんだと

そう判断し、現状様子見として何日間か入院させることにし、その場を去ることにしたのだ。

1人になった鉄平は必死に太宰作品を読み、彼の音をただただ探し続けてた。

あの感動を再び味わうために・・・・・・

少しして、病室に母親が入ってきた

「鉄平ちゃん……大丈夫?具合はどう?」

鉄平は小説から目を離さず左手を上げた、これは鉄平と母との唯一のコミュニケーションだった。

「そう……じゃぁこれ着替えと……あと携帯電話ね……そういえばメー来てたわよ。」

母は着替えと携帯電話を置いて退出していった

母が退出すると鉄平は携帯を取り出しメールを確認した

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8/19 02:36 人妻通信簿リニューアルのお知らせ

「なんだ……ただの迷惑メールじゃないか」

鉄平は携帯を閉じ、また太宰作品を読み始めた

けれども太宰先生の音は一向に聞こえる気配はなかった

そんな夜、消灯時間が過ぎてもなお太宰作品を読み続けていたが、鉄平の体を心配した担当のナースに小説を全て取り上げられてしまった。

涙ながらに抵抗したが、鉄平の力では現状を覆す事はできなかった。

そして深夜になり、鉄平はまだ眠りについてはいなかった。

鉄平はただただ目を瞑り太宰先生を思った、すると奇跡が起きたのだ。

鉄平の頭の中であの太宰先生のメロディーが流れたのだ

「聞こえた!聞こえたよ!」

鉄平は喚起した、鉄平の叫びに隣のベットの人が起きて怒鳴ってきたが鉄平には関係がなかった。
またしても30秒程度のメロディーだったが鉄平をハイにするには十分すぎた
あまりのもハイになりすぎた鉄平はまたしても、倒れた。
そして次の日鉄平は目が覚めると、やはりまた太宰先生の作品を読んでも音を聴くことが出来なかった
そして鉄平は今日も音を探し続けるのだった。

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